=小説=

=小説=

ここ最近 読んでいた小説たち

・箱入り息子の恋 (市井 昌秀+今野 早苗 著)
・四畳半王国見聞録 (森見 登美彦 著)
・ぶたぶた (矢崎 存美 著)
嫉妬の香り (辻 仁成 著)

どの小説も
心に残る言葉だったり
気づきがありましたが、

こちらに 記録しておきたいのは
こちらの1冊。

・萩を揺らす雨-紅雲町珈琲屋こよみ
(吉永 南央 著)
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表紙の雰囲気、そして、タイトルや
珈琲、和食器という私好みの
アイテムに惹かれて手にしたのですが、

軽快で ほのぼのする読物かと思いきや
その中身は 珈琲のような苦味のある1冊でした。

和食器と珈琲が楽しめるお店「小蔵屋」の店主、
数えで76歳のお草さん。

その年齢と経験からくる知恵
悲しみや後悔を抱えているからこその優しさ
そして、その細やかさから
様々な出来事の真実に辿りついていくのですが

そこには現代社会の問題が取り込まれており
内容は重たいものとなっています(例えば虐待など)

また、老いる事に対しての厳しい現実

そこに描かれている
お草さんの心情描写が
私の心に とても響いたのでした。

哀しい気持ちになりながらも
優しい眼差しを向けられた時のような
じんわり 温かいものが しっかり心に残る感じ。

誰にでも訪れる老い

その過程で
「乗る船の舳先がほんの少し向こうに角度を変えた」
と、思う日が 私にも何度も訪れるのだと思います。

どんな風に受け止め、
どんな風に立ち振る舞うのか、

不安も大きいですが、
お草さんのように背筋をシャンと伸ばして
凛としていられたら、と思うのでした。

おしまい。